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YOASOBI「アイドル」の英語版が数日前にYouTubeに出ていましたが、
その翻訳が素晴らしかったのでご紹介します。



翻訳を担当されたのはKonnie Aokiという方。
知らない方なのですが、ネットの記事によれば「元々はバンド活動をしていた」「10代の時に短期間ですがオーストラリアにいたことがある」「20代の時にニューヨークに1年弱行ったりした」とのことです。

サビの「That emotion~」は、空耳で原版(日本語)と同じ「誰もが~」と聞こえるのですが、
誰もが」を直訳するとAll the peopleとかになる(※あくまで一例)ので、
That emotionを主語にするという技は通常は思い付かないと思います。

01:18~のラップ部分は、原版(日本語)の意味を損なうことなく英語で韻を踏んでおり
英語ができる、かつご自分が音楽をやったことがあるからこそ、このレベルの翻訳が生まれるのだと思います。


原版(日本語)はこちら:




ちなみに私自身は歌詞系の翻訳はサッパリですw

Twitterでアンケート取りました。
わざわざ翻訳学校に何十万も払って、 結局諦めるやつ

この業界に10年以上いる私から見ると、
この流れは毎年かなりの人数繰り返されていて、
正直「あ~またワナビが養分になったか。お疲れさんw」って感じなのだが、
おそらく当人達にとってはワロエナイと思うので、
ここらで今後の人達のために一言書いておきます。

まず、受講者側は、
翻訳学校は職業訓練校ではなく、芸能人を目指すスクールみたいなものだと認識した方がいい。
(卒業したら全員が芸能人になれるわけではない)

あと、スクール側も夢持たせ過ぎるのは良くない。
(「翻訳者になれるのは100人に1人程度で、翻訳学校を卒業しても翻訳者になれない人が大半です」と言う事実を、集客の時点で通知して欲しい)

もちろん、翻訳学校が「ムダ」とは言わない。
基礎知識はある程度必要だと思う。私自身、プロになってから自分の苦手な分野の翻訳講座・翻訳セミナーをピンポイントで受けたが、受けてよかったと思う。

ただ、芸能人だって、
デビューできる人は最初からだいたいわかるよね。
元々才能がある人が、ダンスや歌の訓練を受けてデビューする)

翻訳学校側も、いくら金が欲しいからといって、
どうしようもない奴に翻訳者になれる夢を見せて入らせるのはやめてほしい。

そういうお前もnoteで翻訳講座売ってんじゃんwと言われそうだが、
留意事項は最初から言っています
納得された方だけ入っていただけるようお願いいたします。

就職できる方はまず就職して、
業務の中で少しでも翻訳か、そうでなければ英語を使う経験をした方が早いです。
(タダどころか、お金をもらいながら勉強できる + 実務経験を積めるので)
基本は実務 + 補助的に翻訳学校を使うくらいのスタンスでいいでしょう。

最近、立て続けに、
フリーランス翻訳者から会社員に戻る話を何件か聞いた。

詳しい事情は聞いていないので、理由はわからないが、
当人が自ら望んだのかもしれないし、不本意なのかもしれない。

もう何が幸せかわからない、と思う。

会社員とフリーランス、どっちが正しいとかでもないし、
どっちがエラいとかでもない。
(というか、今は会社員に戻ったとしても、
将来的にまたフリーランスになる可能性だってある。)

個人的には、外で働ける方は、外で働いた方がいいし、
戻れるところがある人は戻った方がいいんじゃないか、と思う。

フリーランス翻訳者は、
何らかの事情(子育て・介護、障害がある、社会不適合者など)があって、
外で働けない人達に残された職業でもあるのだ。

私は幸いにも子育て・介護をしておらず、障害もないのだが、
社会不適合者であるため、
一般企業では働けない。

それに20代からフリーランス翻訳者として生活してきて、
30代後半となった今、今さら会社員に戻るのは難しいと思う。

私には戻るところなんてない。

私がこんなに機械翻訳に躍起になっているのは、
厳しくてもこの業界に残る以外の選択肢がないから、
その中で何とか生き残るための道を模索しているからでもある。

事情はわからないが、それぞれの人が幸せに働けるように願うばかりだ。


前記事の質問に関連して、
じゃあ翻訳者がこれから前向きに仕事をしていくには、具体的にどうすればいいのか?
について考えてみました:

① ポストエディットを受け入れる
② トップ1%の翻訳品質を出し、従来の人間翻訳の仕事をキープする
③ 人間翻訳を評価してくれるお客様を自分で捕まえる
④ 自分が訳したデータを入れて機械翻訳を作り、既存の機械翻訳に対抗 ← New!


④はハードルが高いように思えますが、
イチから作るのではなく、既存の機械翻訳のアダプテーションであれば、
最近は技術が成熟してきて、以前では考えられない程安く、必要な対訳データの件数も少なくなってきているため、
ちょっと儲かっている翻訳者であれば、個人であっても不可能な方法ではないと思います。

そうすると、今度はアダプテーションモデル同士の戦いになりますね(機械翻訳戦国時代!?)。

一通り熾烈な争いが行われ、
最後まで立っていたヤツが市場でdominantとなるでしょう。
(「どの機械翻訳が一番良いか」は、プロバイダー側ではなく、ユーザー側が決めることなので)

マシュマロ(Twitter上で匿名で質問できるサービス)でおもしろい質問がありましたので、
回答をこちらにもまとめときます。
(すでにTwitter上で回答済み)
マシュマロ質問①

特に明るい発信をしてる人がほかの業界に比べ少ない暗い業界だと思いました。(いきなり失礼なことを申し上げすいません。)の部分がですね。

自分としてはそんな人ばかりじゃないと思いますが、
少なくとも質問者の方からはそのように見えたということでしょう。

まぁ、私に質問してきたということは、
ちょっとは建設的な意見を求めてると思ったので、
なるべく前向きな回答をしてあげたいと思い、
以下のように回答しました。

=====================================================================
以前、知恵袋にした回答と同じですが、
機械翻訳はパターン認識で機械的に処理できる分野では強いと思います。

しかし、文化的差異(例えば日本では鼻が「高い」と言いますが、英語では鼻は「長い(long)」と言います)によって直訳がうまくいかない部分は、人間翻訳者が残る余地があると思います。

また、訴求など、コピーライティングの要素が入るものはまだまだ人間の領域です。

機械翻訳が今どのレベルか、常に最新状況をチェックしましょう。違うアプローチとして、機械翻訳の使い方については、今AAMTという機械翻訳の学会で協議を進めています。
機械翻訳を最大限使いこなしてもなお修正が必要な部分が、これから人間翻訳者の役割となるでしょう。

あなたのご友人が、上記の回答を見せてもなお翻訳をやりたいというのなら、やればいいと思うし、やりながらこれからの人間翻訳の役割を前向きに探していけばいいです。

ただ、「やっぱやめとこうかな……」と思うなら、やめておいた方がよいです。
これから状況はどんどん厳しくなると思うし、既存の翻訳者すら上位の何割かしか残らないと思いますので。
=====================================================================

特にやりながらこれからの人間翻訳の役割を前向きに探していけばいいです。の部分は、
既存の翻訳者の人達にも言いたいです。

というか、言いながら自分自身にも言い聞かせているフシがあります。
私自身も決して安全地帯にいるわけではないので。

翻訳者を「続ける」には? 

他の方のブログで「翻訳者を「続ける」技術とは」という記事を拝読したので、
一応今年でメディカル翻訳者歴10年目の私から、
私見を述べさせていただきたいと思う。
(ちなみにこのブログは、メディカル翻訳を開始した際に開設したので、
このブログ歴10年目ということになる。長い!)

翻訳者は「なる」より「続ける」方が難しい説がある。

極端な話、問題となった詐欺翻訳講座みたいに、CV詐称やトライアル共有して翻訳会社に登録すれば、
最初の案件はgetできるかもしれない。
でもそれで「10年」翻訳者続けられるか?っていう話。

ここ10年、メディカル翻訳者界隈?を見ていて思うのだが(といっても、ネットで見たり、リアル・オンラインのイベントで私が見聞きした程度。全体の数字や状況を正確に把握しているわけではない)、
メディカル翻訳者になりたい人は多く、最近はコロナのせいかさらに希望者は増えている(翻訳学校のメディカル翻訳コースがすぐ満員になることからも、それは伺い知れる)。
しかし、途中でやめる人も非常に多いので、
「メディカル翻訳者志望です!」って聞いても、
正直最近はもはや「ハイハイ。まぁ、がんばってね」程度にしか思わなくなってきた。

メディカル翻訳者に「なる」には?という問いには、
「メディカル翻訳・通訳 完全ガイドブック」を見た方が早いと思うので、あえてここでは触れないが、
私が思うメディカル翻訳者(というより、メディカルに限らず翻訳者)を「続ける」コツは:
① 収入の2割を目安として投資に回す
② 単価がギリギリだと仕事がない時のバッファがないので、単価を高めに設定する(というか、単価が低すぎると生活費が稼げないので、そもそも翻訳者を続けられない)
③ ヒマな時間は、
● 新規開拓(トライアルや営業)
● セミナー・勉強(既存の翻訳分野のブラッシュアップ、翻訳分野を広げる、CATツールの習得)
● イベントでネットワーキング
④ 目標となる翻訳者を設定し、常にそこに向かって努力し、時々フィードバックをもらって目標からズレていないかを確認する
⑤ 需要がある翻訳者ってどういうものか?を常に観察する

特に⑤。
あなたが仕事がない時でも、仕事がある翻訳者はいます。
全員に仕事がないわけではありません。
あなたに仕事が来なくて、他の翻訳者に仕事が行くのはなぜでしょうか?

これを常に念頭に置いて、自分の状況だけでなくマーケットの需要供給を見てみてください。





Yahoo!知恵袋に「将来翻訳家になりたいと思っているのですがそれを担任に質問したら『君が大人になる頃にな全て機械がやってくれるから翻訳家はやめた方がいいよ。』って言われたんですけど……」という質問に対し、
現役翻訳者達から真面目な回答が寄せられています。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13255675208

まぁ、高校生へ親身にアドバイスしているというよりは、
自分らがそう言われた気になったので、
これだけマジに回答しているのではないかと思いました。

現役翻訳者達もどこかで機械翻訳について気になっているので、
自問自答の時期にきているのかもしれません。

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意識を高める

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