ちょっと時間が経ちましたが、2/13に千里ライフサイエンスセミナー「ビッグデータと人工知能医療」に行ってきました。
(10:00~16:40と長丁場だったので、久しぶりにOLみたいな1日だったw)
感想は、素晴らしかった!

いただいた資料。表紙は「うめきた2期」の構想図らしいです。
千里ライフサイエンスセミナーは、いつも男性が多いんですが、
今回は特に女性が少なかったです(5%位?)。
満席どころか、本来席でないところまで仮のパイプ椅子が出ていて(それもほぼ全席埋まってる)、
300人弱?いたのではないかと思います。
コーディネーターの宮田裕章氏は銀髪が特徴的な方で(『クローズアップ現代』にも出たらしいです)、
「Society 5.0」、「データ駆動型社会」、Value Co-creationについて述べられました。
(ちなみにこの方は「うめきた2期」にも参画されているそうです。)
時間が経ってうろ覚えの部分もあり、メモ程度のまとめですが、よろしければご参照ください。
①医師の画像診断を目指した機械学習研究
画像診断は画像情報が多次元化。少数情報適応機械学習。AIの導入事例として、全自動眼底カメラを紹介(緑内障の自動診断の正解率91.2%)。疾患別にリスクファクタを登録して、予後を診断。
→機械学習による自律進化診断エンジン
②機械学習・数理科学にもとづく疾患の層別化と予測
画像認識は(1)物体識別、(2)物体検出、(3)セグメンテーションの順に行われている。最近の画像認識は精度が高くなっており、講師はアクション映画の銃撃戦で多くの人が入り乱れている状況でリアルタイムで「human」と検出される様子や、胃カメラでカメラを進める中でリアルタイムで「lesion」と検出される様子を例として提示した。
どこからがガンか?という判断には、医師からの正解データが必要である。
CNNによって少ない正解データ数から、精度よくがんを検出できる。
課題として、ふだんの診療で自動的にデータを集める仕組みが必要である。
③人工知能時代の新しい生命医科学
生物の多様性を適切に分けて各グループを分析する。生物は非常に高次元なので分析しにくい。
生物データのネックは、High dimensionality、Non-linearly 、Heterogeneity、Limited samplesである。
それゆえ、stratificationによるindividualized treatmentを行う。
医療データは非直線・非正規分布であり、様々な要因や複雑な相互作用がある。
多変量ロジスティック回帰によって、重要な特徴を選択的に使う。
教師なしランダムフォレストによって、サンプル間の距離を測る。
(例:クラスタ6は、3年後にクラスタ2に移行する or 糖尿病になる等)
IBMワトソンは医療診断で行き詰まったのは、言語処理に問題があるから?
ディープラーニングは部分に分けてから全体を作る。すべての部分を作ることはできない。
↓人工知能+人の例(一部のフレーズをAIが作曲)
人間には主観と計算の両方があるが、AIには片方(計算)のみしかない。
人はcoordinationがくずれた時、病気になる。
------休憩------
④深層学習による画像解析技術の飛躍と医療画像解析への応用
深層学習は“だます”ことができるという。例えば、砂嵐なのに「Tiger」と認識させたりとか。
講師の研究の一環として、病理医に胃がん領域のアノテーションを付けてもらうなど。
講師は医師ではない(電子工学が専門)ため、共通基盤の必要性(各医学会との提携など)を説かれた。
⑤精神科領域におけるICTやAI技術の活用の試み
近年、多くの製薬メーカーが精神科領域から撤退している。その理由は、Trial Failure(治験の失敗)の多さ(50%)。
これは、診断方法がインタビューであることと、ベースラインの吊り上げ(治験の組入れ人数を増やしたいがために、医師の主観で病気を重く見積もる)が挙げられる。
そこで、computational physiology technologyを活用する。
認知症患者を声で診断する(30分~1時間録音すると、精度は90%)。
⑥人工知能技術が拓く医療の未来
これからはオンライン診療やバーチャル臨床研究の実施、
様々なデバイスとの提携(例:スマホのタッチスピード→うつ病診断、スマートウォッチの脈拍→糖尿病診断)、
探索的なAI解析を行うプログラム医療機器が見込まれる。
⑦データ駆動型社会における新しいヘルスケア: AI, IoT活用の課題と展望
コーディネーターの宮田裕章氏(慶応義塾大学医学部教授)による講演。
同氏曰く、「医療はお金のためにするのではない。お金のためにした国は、潰れてきた」とのこと。
今後はゲノタイプを患者個人に適用。
①の講演で出てきた全自動眼底カメラは、メガネ屋の前に置いたことで、医師と競合しなかった。デバイスをどう使うかも問題である。
Data Portabilityは、21世紀の基本的人権だが、共有財の側面もある。
介護は「どの程度支援しているか」、ではなく、「本人が何ができるか?」という視点が大事。
(でないと、要支援・要介護レベルが重く認定される傾向にある)
朝、鏡を見て健康診断をする未来も来るかもしれない。
------全体的な感想------
今回の講演で紹介されていたAIの導入例は、決して理想論ではなく、実際の臨床に沿ったものでした(現状を把握した上で、「出来るところからはじめましょう」という感じ)
講演内容が難し過ぎない(例え医師であっても、機械学習については素人なため)。
特に午前中の3件は、研究内容自体だけでなく、プレゼンテーションとしての完成度も高く、非常に聞きやすかったです。
特に認知症を声で診断する取り組みについては、
えっ、ここで言語処理出てくる!?と思いました。
NLP2019のスポンサーになったのは、正解だったかもしれないですね。
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